更新'2001年01月28日




はじめに
 今回ここに公開する記事はJR1EUX(大久保氏)及びJE1RGL(永井氏)のホームページで紹介されている430MHZ用MRF658プッシュプルリニアアンプ基板を複数枚電力合成し高出力アンプを製作したときの奮闘記です。
 大久保・永井両名の協力の下、リニアアンプを製作したのですが見えない壁に何度と無くぶつかりトラブリ放題でした。わかってみれば当たり前のことばかりですが、皆さんがリニアアンプを製作されるときの参考になれば幸いと思いペンを取りました。
 またアンプの製作方法については大久保・永井両名のホームページに記載されていますのでそちらを参照して下さい。

今回製作したアンプ外観




構 成
 10W機での動作を考え一枚を中押し(ドライブ用)に利用しその出力をまず2分配さらに2分配し4枚の基板に電力を供給します。
 アンプ出力は入力とは逆にまず2枚ずつ合成しその出力をさらに2合成し出力を得ています。

 今回大久保氏のご協力により普通では手に入らない特殊のセミリジットケーブルによるハイブリッド電力分配を採用しました。





リニアアンプ製作奮闘記
 ことの始まりは'98年10月のある日、昔からの悪友である悪ガキトリオ(大久保・永井両氏)とお酒を飲んでいつものように盛り上がっていました。そんな馬鹿話の中、MRF658が製造中止になると言う話題から以前みんなで作成したMRF658用アンプ基板の残りがあるので基板複数枚を電力合成した高出力のアンプ製作をやってみようかと話が盛り上がり、一番面倒な合成器も上記の様に”簡単に出来るよ!”と大久保氏の甘いささやきも手伝って永井氏と私の2人で1だいづつ製作することになったわけです。

 やるとなったらすぐ始めないと気が済まないのが私の性格で早速部品集めを開始しました。最初にぶつかった壁がヒートシンクです。かなりの発熱が予想されるので大きめの物を探しに秋葉原をウロウロしたのですがなかなかの良い物がなく、ジャンクはあきらめ新品を検討することにしました。ところがこれがメチャクチャ高価で手が出ません。ふと昔の友達が仕事でヒートシンクを扱っていたことを思い出し、旧友の消息をたどり・・・・・新潟に居ました。「昔の友は今の友」なんて言いながら、ダメモトですので最良と思われる物をカタログで選び、サンプルでの出荷を依頼したところ(なんてあつかましいのでしょうか)ラッキー!! 気持ちよく(勝手に良いように解釈してますが)引き受けてもらえました。持つべきものはお友達です。
教訓 その1
 ヒートシンクはケチらず大きめの物を用意しましょう!
 放熱が悪いと高価なデバイスをいとも簡単に壊してしまいます。

今回使用したヒートシンク

 11月中旬にある程度の部品が揃いメカ的な(ケース・ヒートシンク等)加工を開始しました。あとで反省したのですが、安易なレイアウトはトラブルの元です。私の場合出費を押さえるためにケースを安易に選んだため後でバイアス回路や制御回路の実装に四苦八苦しました。最終の形はどうなるかしっかり構想を練ってからレイアウトを決め、それにあったケース選びがベストです。
教訓 その2
 ケースは大は小を兼ねますが小は大を兼ねません。
 後で「アッ!あの回路を追加しなくては」とか
 「あの部品を取り付けなくては」が起こっても安心です。



 次にぶつかったハードルはデバイスを取り付けるためのネジ穴(タップ切り)で、ついつい力任せでタップを折ってしまいました。仕方なく位置をずらして再度あけ直したのですが、折ったタップきれいに抜けていなく出っ張っていたようで、デバイスがこのバリの上に乗ってしまいヒートシンクに密着されておらづ放熱不良を起こし結果的にはデバイスをこれでも壊してしまいました。
教訓 その3
 デバイスの取り付け穴のバリ取りを忘れずに!
 デバイスは必ずヒートシンクに密着させて下さい。



 なんだかんだでハード的な加工を終え次は基板の組立です。基板の組立は過去数回組んでいますのでスムーズに完了しました。
 次にやるのはアンプ本体基板やバイアス回路・コントロール回路の配線です。まず電源まわりですが、かなりの電流が流れます線材は太い物を使用しましょう。またスイッチも電流容量の大きい物を利用したいのですが100Aのオン・オフを行える物はなかなか無いし、スイッチで全電流をオン・オフするのではなく異常時にリモートスイッチで制御する保護回路を入れるべきと考えます。リモートスイッチには半導体でFBな物も有るようですが、今回私は予算と相談した結果自動車のライトをコントロールするパワーリレーを使用しました。構想では過電流・過入力・温度上昇・電力合成のアンバランス検知などなど保護回路を考えていたのですが、まずはアンプを作って動いたら真剣に作成しようと思っていたのですがトラブル続きで作る元気もなくなり今に至っています。(せっかく動いているのに余計な事をしてまたトラブルのが怖いのかも)しかし最初から保護回路を入れておけば貴重なデバイスをいくつも救えたかと思うと後の祭りです。
教訓 その4
 保護回路は真剣に最初から作りましょう。
 保護回路があれば「貴重なデバイスを壊さずにすんだのに」と
 後で後悔する事も無いでしょう。



 バイアスラインの配線を終え調整に入るわけですが、一枚ずつ調整したところ腕が悪いせいか出力のバラツキがありました。サガでしょうかねついつい一番パワーが出る物を基準に考えパワーを絞り出そうとしてしまいますが、これはやめた方が良いですよ。最後には必ずと言って良いほどの確率でデバイスを壊します。一番パワーの出る物をドライブに使いそれ以外の4枚は一番パワーの出ない物に合わせて調整します。パワーのバラツキはすべてバランス抵抗で消費するわけですから結構真剣に行います。しかしさすがに実績のある基板です再現性はバッチリでパワーの出ない基板はありませんでした。
 さて電力合成です、2枚ずつ合成しましたが大久保氏の言うとおり問題なく動きました。しかも2組とも出力は同じですなんとFBな分配器と合成器なのでしょうか、つづいて最後の合成ですが2合成と全く同じ分配器と合成器を使用するわけですから問題が出るわけがありません。分配器と合成器を配線しパワー(手持ちの無線機で絞れる最低パワー)を入れると嬉しいじゃありませんか手持ちのパワー計が振り切ってしまいました。最後の仕上げとして入出力ラインの配線をしケースにカバーをし最終テストです。顔がにんまりで、嬉しさを隠せませんでした。ところが、パワーを入れ徐々にパワーを上げていくと電源に異音がし突然パワーが出なくなりました。今回使用したスイッチング電源に回り込みをおこし異常電圧がアンプにかかったようです。アンプを調べてみたらデバイス4個が壊れていました。
頭の中が真っ白になりました!
 このあたりからです。永井氏の製作ピッチがダウンし私のアンプの状況を牽制し始めました。(ずる〜い!)


 大久保氏に連絡をし緊急ミーティングを”何が問題なのか?”、”デバイスは入手できるか?” いずれにせよデバイスの手配を行い入手するまでに対策を検討することにしました。
 これと言った対策も思い当たらず、とりあえず電源を他の物に交換する事にしました。
 年末になり待望のデバイスが入手できアンプの修復作業準備が整いました。大久保・永井両名の都合を聞き土日の連休に作業を行うことにしました。
 デバイス4個の交換・バランス抵抗の交換を行いアンプ単体での調整を行いましたが、何の問題もなく終了しました。 ”パワーオン”入力パワーを徐々に上げていくとバランス抵抗が発熱し一瞬でパワーが出なくなりました。
 またです・・・ 気を取り戻しチェックしてみると今回交換していない側の2枚のアンプのデバイス4個と前回も壊れたバランス抵抗が壊れていました。デバイスの壊れ方はベース・コレクタ間がショート状態でした。大久保大先生にアドバイスをお願いすると、ベースに過電圧が加ったときにショート状態になるそうです。何らかの要因でバイアス電圧が上がったのでしょう。よくよく考えてみると今回のバイアス回路は実装スペースの節約もありアンプ基板2枚に1個のバイアス回路で対応していました。と言うことは何らかの要因でデバイス1個が壊れるとその壊れたデバイスを通ってコレクタ電圧が他の3個のデバイスのベースに流れてしまうわけです。
教訓 その5
 バイアス回路はアンプ基板1枚に1個用意しましょう。



 最初の方にも書きましたが、デバイスを交換していたその中の1個のデバイスがヒートシンクに密着されていませんでした。間違いなく壊れた原因の1つであることに間違いありません。バイアス基板もアンプ1枚に1枚用意しました。ところが今度はドライブ用のアンプのデバイスが壊れ、結局高出力になるとバイアス基板に回り込みをおこしベースに過電圧がかかるようです。バイアス回路をパターン化しグランドラインの強化をする事にしました。


 新年あらたに気分も一新してバイアス回路を組み込み再挑戦です。(本音を言うと結構めげていましたが)外付けでは問題ないが、ケースの中にバイアス基板を実装すると、やはり入力パワーを上げていくと回り込みが発生するようです。(ここでもチョンボをやってしまいましたパワーの入れすぎだと思います。ドライブ用の基板のデバイスをとばしてしまいました。)もういやだ!半狂乱になりそうです。仕方ありませんそこで腹をくくって大改造を行いました。
 1. バイアス基板をシールドする。
 2. 入出力ラインをセミリジットケーブルで配線し最短の長さにする。
 3. 電源ライン・バイアスラインの回しを極力高周波ラインより離す。

 またおまじないのつもりでフェライトビューズなどもバイアスラインに入れてみました。
教訓 その6
 オーバードライブには注意しましょう。(保護回路が必要ですね)

ジャジャ〜ン!!

おまじないが効いたのでしょうか、ついに完成です。
教訓 その7
 あきらめず頑張れば必ず最後に幸せが訪れます。Hi

 終わりに
 とにかくここ数ヶ月間、寝てもさめてもリニアアンプが頭の中から離れない状態でした。(ちょっとオーバーですかね)
 大久保氏・永井氏には大変お世話になりました。
 また永井号に対して良い教育材料を提供してしまいました。トホホ・・・
 一発で決めて下さいね!永井さん

 しかし動いてしまえば、色々とありましたが気分痛快万々歳です。
 いずれにせよ素人の私にも何とか作ることが出来ました。
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